インターネットの接続サービスは、1Gを超えて10Gの時代がやってきました。
殆どのプロバイダが、1G線を引いても200~500Mbps程度しか出ていないのに、それが10Gになって何の意味があるのでしょうか??
金額が変わらず、サービス内容も変わらないのであれば1Gよりも10Gの方が良い可能性も有るかもしれませんが、根本的な問題として、1G以上のLANは高い。
外の線が1Gより早くても、家庭内が2.5Gや10GのLANを引いていなければその速度を行かすことは出来ません。
そして、当たり前ですが1Gの装置よりも10Gの装置の方が消費電力が高く、発熱量も半端ない。
1GのHubなどは100MのHubよりも消費電力が高く、発熱量も多かったですが、それでもたかが知れていました。
それなりに温度は高くなっても、触れられないことも無く、ファンが必要になるような状態ではありませんでした。(注:それでも、ファン付きのものは有りました。)
しかし2.5GbpsのHubではファンは必須で、しっかりと冷却しなければ動かすことは出来ませんでしたし10Gはもっと発熱します。
外は10Gだとしても室内は1GのLANで十分(もしくは屋内は10Gに対応していないかも知れません)だとしても、そこに10Gの装置が最低限一つ入ります。
今まで、ネットの配線はどうしていましたか??
殆どの人が、部屋の片隅であったり、何かの物陰であったり、タンスなんかの上に放置していませんでしたか??
10Gの装置になると、これが出来なくなります。
完全に忘れて放置していたら、いつの間にかホコリが堆積して、ファンの回りが悪くなったり、通気口が塞がれて、流れが悪くなったりします。
そうなった場合、この10Gの装置は1年そこそこで壊れてしまう場合があります。
10Gの装置は高いです。
おそらく、誰もがレンタルになるでしょう。
そのレンタル中の装置が1年で壊れたらどうしますか??
レンタル品は返却するから、毎月安く借りられているのです。
壊れてしまえば、弁償しなければならなくなります。
そうならないようにするには、少なくとも毎月掃除は必要になりますが??
そんなことを気にして掃除する人が一体何人居るでしょうか?
殆ど居ないでしょうね?
10Gがある程度普及してきたら、色々な人がこの装置を壊し、高額のお金を払い、また新しい機器を導入することになるかも知れません。
人によっては1Gの回線に戻すかも知れません。
でも、10Gのまま使おうと考える人は、新しい装置が必要になります。
新規で導入する人、壊れたので新しいのに交換する人など、需要が急に増えたりすると、当然機器が足りなくなり、順番待ちになります。
そうなれば、長ければ数ヶ月納品待ちでインターネットに接続出来なくなるかも知れません。
10Gとはそう言った問題を孕んでいるのです。
また、10Gには、そもそも、意味が無い可能性の方が高いのです。
回線はベストエフォート型であり、複数の人が共有しています。
だからこそ、早いほうが良いとも言えますが?
どんだけ通信速度が速くなっても、回線のビジー状態に対する耐性は、どの速度でも変わりません。
1Gだろうが10Gだろうが一切関係なく、10人程度の人が、それなりの速度で、同時に通信を始めれば、通信はストップしてしまいます。
まぁ、確かに10Gであれば、データの少ない人は直ぐに通信が終わって、その分ビジー率は下がります。
しかし、通信速度が一定上速くなると、どんだけ通信速度が速くなっても、通信に掛かる時間は、変わらなくなります。
たぶん、これを聞いて直ぐにこの意味が分かる人は、殆ど居ないでしょう。
具体的に説明しましょう。
通信速度が遅い場合、通信を開始して、データを受信して、データが全部通過することで、受信が完了します。
これに掛かる時間は、
データ量/通信速度+α
となります。
この場合、データ量/通信速度 >>> α
となります。
しかし、通信速度がある程度以上速くなると
データ量/通信速度 <<< α
になります。
もちろん、単純にデータ量が少ない場合も、これに該当します。
通信は、プロトコルがきまっており、この手順通り行っています。
インターネットの場合、 TCP/IPで行っています。
TCP/IPも何度もバージョンアップしていますが、
簡単に説明しても、以下の手順を行います。
接続要求→接続許可の通知→欲しいデータの情報を送信→データの受信→データの受信完了通知→切断
これは、一回の通信で毎回行うことになります。
キープアライブという方式もありますので、同じ所と通信する場合は、接続要求と切断が最初と最後だけで済むことになりますが、それ以外の部分は、毎回全て必要になります。
この+αの部分
は上記の「データの受信」を除く全ての部分です。
ようするに、「データの受信」に掛かる時間が減ると、+αの部分の方が元々行程が多く、時間も掛かるので、結果として、通信に掛かる時間の大半がαの部分だけになります。
そして、ここの部分は、先ほども言ったとおり、通信速度には影響を殆ど受けません。
データが小さいので、通信速度と言うより、物理的な距離であったり、通過するノードの数に大きな影響を受けるのです。
因みにノードとはHubであったりルーターとか言われる物です。
インターネットの上流の方では、インターネットエクスチェンジ(IX)であったりしますが、基本は同じです。
通信は一瞬だけど、通信を開始するまでが長い。そして、切断するのにも時間が掛かる。
10Gなんて、ほとんど意味が無いのです。
もちろん、ゲームの更新データとか、数ギガに及ぶものも有ります。
こう言った物の場合は恩恵を受けられますが?
月に一度あるかどうかの大規模アップデートの時以外は全く関係なくありませんか??
数百メガ程度の更新であれば1Gでも直ぐに終わります。
仮に300MBの更新があったとします。1G線での最大速度は100MB/sとなります。
100M出るのであれば、3秒で終わります。
もし20M/s(200Mbps)しか出ていなくても、15秒で終わります。
ちょっとよそ見をして戻ってくれば、とっくに過ぎている時間です。
ゲーム開始まで、ランチャーの受信ゲージが伸びるのを一秒も待てない感じで見ている人にとっては、15秒は長いかも知れませんが、それなら、PCを立ち上げて、一番最初に更新を開始していれば、マウスの状態を確認したり、座る位置を調整したり、攻略サイトを開いたりとかしている間に過ぎてしまう時間です。
それに、その僅か数秒が気になるのであれば、出先から、自宅のPCを立ち上げて、更新だけ先に実行すれば良いのです。
PS4辺りから、これは可能になっていますよね?もちろん、PCでも可能です。
自宅で全裸待機している人なら、更新データが上がって直ぐに実行すれば良いだけです。
大抵、更新データの方が先に公開されますからね?
ぜんぜん間に合います。
さて、それでは最後の問題点。
送信鯖側の問題です。
こちらの回線がどれだけ太かろうとも、接続先のサーバーが遅ければ、回線が細ければ全く意味が無いですね?
また、首都圏の様な所に済んでいる場合は、太く潤沢なバックボーンがありますが、あたしが住んでいるような静岡県は、そもそもバックボーンが太くありません。
県に入ってきている線が10Gで有ったりとか、そう言ったレベルです。
もちろん10G一本ではありませんが、住んでいる位置によっては、そもそも全く意味が無い場合もあります。
こう言うのをボトルネックと呼びますが?
あなたにはボトルネックがありませんか?
10G引けば、10Gの通信速度が出るのですか??
同じ線を引いた人が、とてもアクティブな使い方をしていれば、1Gの方が早いかも知れませんよ?
この辺りは運でしか有りませんが?
10Gに対応したからと、同じ地域の人がまるごと全員1Gから10Gに移れば、速度なんか上がるわけがありません。
それなのに、消費電力が上がり、故障率も上がる。
全くもって意味が無い。
10Gのインターネットってそういう物なのです。 |