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ティアのたわごと3☆其の386


あっという間に夏休みも終わりですね

え〜、社会人?であるわたしには全く関係のないことですが・・・

高校生くらい迄の方は、8/31迄ですよね

大学生の方はもうちょっと休み在りますね

 

まぁ、休みもそろそろ終わりと言うことで、ちょっとよく分からないお話でもしてみましょうか?

なお、完全なるフィクションかも知れません(笑

 

『訪問者』

それは、昼過ぎから強い雨が降り始めた夏の暑い夜だった・・・・・

 

この日は朝から曇っていて、当然のように蒸し暑く、非常に不快だった。

気温は28度、暑いと言えば暑いが、風でもちょっとあればそれほどでもない、でも、この湿度はやってられない・・・・

「あん、もう!!」

腕にからみつく髪をめんどくさそうに払いながら、作業を続けた。

夏の間、ちょっとした小遣い稼ぎに始めた内職、単純作業ながら、割と手を動かす、

体内で発生した熱は大きく開いたTシャツの胸元から立ち上り、不快感は増す。

長く背中に流した髪は、途中でまとめられてはいる物の、手をよく動かすためか、すぐに右側へ滑り降りてくる。

髪をかき上げる左手には、内職の部品が握られている。

・・・・・

日が傾き暗くなってきた

雨はますます強さを増し、雨を窓を叩く音で室内が支配される。

「も〜〜」

ただノイズにみたされた空間に、人の声が混じる。

一体今日は何度この台詞を発しただろうか??

 

別にノルマもない・・・回収は週に2回日曜と水曜、別に今日する必要は全くなかったのだが、ここまで来ると只の意地だった。

 

勝手に決めた今日のノルマは1500個、まだ、100個も出来ていない。

いらだちが増す・・・

 

普段、学校では清楚可憐、深窓の令嬢で通している。

そんな面影はもう何処にもない。

 

腕や首筋にからみついた髪は、その長く美しかった様相はなく、魅力的の度を遥かに超え、悪質な気持ち悪ささえ醸し出していた。

 

「全く、今日の自分はどうかしている・・・・」

 

背中に束ねた長い髪は、毛皮を着ているようなもので、もう一枚ブラウスを羽織った方が、まとわりつかない分、滑りもいい分あまり暑くない。

持っているブラウスで一番薄い物は学校指定の夏服

学校に行くでもない日に制服を着ることに若干抵抗はあったが、特に他にもなく着替えるために部屋を出た。

 

ぐっしょりと濡れ、体に張り付いたTシャツを脱ぐ・・・・

まだ、十分発達しきっていない胸を覆う物はない。自宅でわざわざ付けている必要は全くない。

運動するときは流石に必要だが、学校に行くとき付けているのは只の見栄だ。

短パン、ショーツも脱ぎ捨て、風呂へはいる

シャーーー

軽く汗を流すため、シャワーを浴びる。

低めの、どちらかというと水に近い温度で、とても気持ちが良い・・・・

無駄に過ごしていた今日の時間を振り返る・・・・・

 

深窓の令嬢に、特別仲の良い友達は居ない。

今日、うだうだ過ごしてきたことについて、特に不満はない・・・・

 

いくら丸一日内職に励むことにしても、そもそも1日で1000個も作ったことはない、多くても500個が良いところ、何より集中力が続かない。

そもそも、ノルマの設定が間違えていた・・・・

それに、普段なら2枚着ているところを、暑いからとTシャツ1枚になったのがより暑さを感じる原因だ。
全身で活動しているときならともかく、座って腕だけを動かしているときには向かない。

今日は色々裏目に出ている、このままではダメ

「何とかしないと・・・・」

小さなつぶやきが漏れる。

 

長いことシャワーを浴びていたため、若干からだが冷えたが、部屋の温度を思えば、大したことはなかった。

タオルで軽く水気を拭き取った後、誰もいない廊下を歩いた。

 

深窓の令嬢と言うだけあって、とても大きな屋敷だ。

ただ、そこを歩く令嬢は、肩からタオルを掛け、唯一持ってきた新しいショーツだけをはいて歩いていた。

さっきの態度、今の風体、どれを見ても清楚可憐ではない。

 

そう、只の猫被りだ

 

でも、ある日、後を付いてきた(私に好意を抱いている)少年が、家を見て勝手に勘違いし

顔立ちやスタイルはいかにもお嬢様で、ちょっと暗くて喋り下手なところも、「落ち着いてちょっと初」で、いいイメージで定着した。

別に無理してなったわけではない。

噂がどんどん一人歩きしただけだ。

 

金持ちに間違いはないが、家は先祖代々だし、親の稼ぎも一般家庭よりは多い程度、でも、殆どのお金が家を維持するために消えていっている。

私生活においては、一般人よりかえって貧乏かも知れない。

 

小遣い稼ぎはこのためである。

部屋に戻ると薄いタンクトップに通学用のブラウスを羽織り作業に取り掛かった。

扇風機のスイッチを入れ(エアコンは居間にしかない)しけった体を乾かすついでに、冷やす。

不快感があまりない今は、割とさくさく内職が進む。

100個くらい作り終えたとき、凝った筋肉をほぐすために、大きくのびをした。

 

ゴスッ

「????」

伸ばした手に何かが当たった。

 

慌てて手を引っ込め振り返るとき、何かが振ってきた・・・・

反射的に目を閉じ、頭を腕で覆った。

 

全身に降り注ぐそれが、液体だとわかり、軽く目をこすり目を開けてみることにした。

なお降り注いでいるそれは勢いが弱まってきているが、まだ続いている・・・・・・

目を開けると床が見えた。

 

いえ、見えるはずだった・・・

 

一面が赤で覆われており・・・・降り注ぐそれが、赤い液体だと分かった

 

赤い液体??

 

突然、後ろで”ドシン”と大きな音が鳴り、降ってくる赤い液体が、収まった。

 

赤い液体?

 

いいえ、分かっている・・・・でも、分かりたくない・・・・

この鉄クサイ臭い、

 

誰かが自分の背後で血を吹き出して倒れたのだ。

 

恐る恐る振り向く・・・・

 

特に誰もいない

 

とりあえず、ゾンビのように襲いかかっては来ないようだ。

 

自分の背後も、血の海が出来ていた。

 

致死量には満たないかも知れないが、失血性のショック状態には十分なれる量だ、

なのに・・・倒れたと思われる跡の他、血痕はなかった。

 

外は相変わらず、強い雨が降り続いており窓はしっかり閉じていた。

 

自分の中で時が動き出す

「キャーーー」

気が付いたように、声を上げる、心が悲鳴を上げる。目の前の光景が走馬燈のように流れる。

そして、気を失った・・・・

 

目が覚めたのは、病院のベットだった。

いろいろな機械が取り付けられてはいたが、別に集中治療室でもなさそうだ。

とりあえず、普通の一人部屋。

 

・・・・・・

さっきの光景が思い出される。

 

あれは現実だったのだろうか??

それとも幻覚か何か?

あれから何日か経ったのだろうか??

 

軽く見渡すと、時計はすぐに見つかった。

時刻は3時を過ぎている。

外はまだくらい。雨も強く降っているようだ。

たぶん、数時間経った、翌日の午前3時と決めた。

 

時計を見ていなかったため何時まで作業をしていたか分からないけど、数時間は寝たと思う。

 

体調はいたって問題ないみたいなので、かなり暇だった。

 

とりあえず、ナースセンターにでも顔を出すことにした。

話し相手になってもらおう。

ちょっと話し下手な自分も、こんな日ばかりは誰かと一緒に居たいもの

 

廊下に出ると、ちょっと先に明かりがついており、そこがナースセンターだとすぐに分かった。

やや足下がふらつき、倒れ込むように入っていくと当直の看護婦が慌てて寄ってきた。

「大丈夫ですか?」

小池と名乗った看護婦は、心底心配しているようだ。

私の顔を見ると、ちょっと驚いたような顔をした。

 

わたしは、長い間寝ていたためだと、言い訳をして、話し相手になるよう頼んでみた。

看護婦は笑いながら快諾してくれた。

 

まずは、日付を確認してみた。

驚いたようなそぶりを見せたが、やや納得した表情で教えてくれた。

あれから15年の月日が過ぎていた・・・・

 

慌てて鏡を探す。

「鏡、鏡は??」

看護婦が指し示す方に水場がある、そこにあるようだ。

見た感じとても30前の人物とは思えない、昔のままの自分が居た。

 

有る意味安堵を覚え、看護婦に文句を言った。

でも、看護婦は顔を曇らせ、事実はもっと辛いと言った。

これは、既に決まっていたのだ。

15年というワンクッションをおくことで落ち着かせる。

実に、60年の年月が過ぎていた。

 

この世の眠り姫として、そして、怪奇事件の被害者として一時期とても有名になったが、60年もこの話題を覚えている物は少ない。

もう、忘れられた存在。

流石に家族は覚えているが、60年間も毎日見舞いには来ていないこと、既に引っ越してこの町には居ないこと、当然両親は他界していることなど、様々なことを聞かされた。

それらは既にレポートとしてまとめられているらしく、看護婦はそれを読んでいるだけのようだ。

事件のことを聞こうとするが、彼女はまだ24歳で、当時はまだ生まれても居なかったという。

 

資料によると

わたしは血だらけで運ばれた。しかし、外傷は何もなかった。

すぐに目覚めると思われたが、数ヶ月経っても目覚めることはなかった。

しかし、1年も過ぎた頃誰もが不信を抱き始めた。

そして、3年もする内にそれが確信となった。

眠っているはずなのに年を取らなかった。

こぞってどこかの研究機関の人が来た。新しい医療法が見つかればと、ある程度はそれらの人を受け入れた。しかし、謎は深まる一方だった。眠っていると思われたわたしは時が止まっているかのように・・・・・

正しくは、同じ時間を繰り返しているだけに見えた。

あたしの体は、20分おきに20分前の状態に戻ったという。

 

そして、10代の若さを保ったまま70代のおばあちゃんになってしまったのだ。

 

 

ふと、弟が居ることに気が付いた。看護婦も連絡を取るべきだと主張した。

「私が居ないあいだに作られた弟・・・・」

両親は一体どんな思いで弟を作ったのだろうか?

 

看護婦が電話を掛ける手を止める。

 

「先に心の整理をさせてください」

看護婦は、院長にだけは連絡させて欲しいという。

仕方なくこれには応じる。

 

もう一度じっくりと資料をのぞき込む。

自分自身の成長記録(成長してないけどね)から、様々の物がある、

未婚の乙女に何をしているんだか?

 

元々その辺りはおおざっぱなので気にせず次に行く・・・

そんななか、ただ一つだけ気になる項目があった。

 

額に刻まれた血文字

初めは血の塊が付着しただけと思われたそれは、時間が経過していない私の中で唯一1ヶ月後に消えた物だった。

 

それが、何の文字かは未だに分かっていないらしい(もう、調べている人も居ないだろう)

部屋を赤く染めた血の海も、結局原因は分からずじまいで終わったようだ。

結局何も得ないうちに、時間が過ぎていった。

 

30分後、院長がやってきた。

 

院長は、色々聞いてきたが、そもそも60年前のわたしのことなど分かるはずもない。

簡単な診断が終わった頃、警察もやってきた。

 

たとえ何があっても時効も成立しているだろう、ただの調書かな?

会議室を使うと警察は主張したが、何も隠す必要がないからと、この場ですることを要求した。

警察は渋々それを了承した。

 

まず、警察が聞いてきたのは、極単純なことだった。

 

倒れる前に見た物は覚えているか?

何時頃だったか?

家にいた人は?

とかとか、

結局60年前の後始末、重要参考人からの調書取りに来ただけのようだ
これで片が付いて終わりなら、少々付き合って上げよう。

あたしにとっては数時間前のこと、非常に良く覚えている。

 

内職の電子部品を組み立てていたこと

風呂から戻ったときも、特に人は居なかったこと。

100個くらい 恐らく2時間位したとき、誰かが後ろに立っていたらしいこと

突然血を吹き出して倒れたこと

そのまま気絶したこと

でも、自分でもよく分かっていない、それ以上のことは覚えても居ない。

一通り質問も終わって、さてどうしようかと話していると・・・

院長が仮眠を取りに宿直室へ行ってしまった。

 

小池さん(看護婦さん)も、定時見回りとのことで、行ってしまった。

 

 

そこにいるのが、警察とあたしだけになったとたん、態度が急変した・・・

あたしは、一瞬だけ反応が遅れた。

 

元々機敏でもないあたしは、後ろにいた人に押さえられ、口元に布を押さえつけられた。

 

ドラマでよく見る”クロロホルム”とか??

でも、実際この薬の効き目が出るまでは10分程度掛かることもあり、落ち着いていればすぐに寝てしまうこともない。

 

周りを見る、逃げ道はなさそう、でも小池さん(看護婦さん)に戻ってきて貰えれば助かるかもしれない。

隙を見て口を押さえる手をどかそうとすると、右手を何人もの男がテーブルに押さえつけた。

 

開いている左足で手近にいる人を蹴っても、そもそも喧嘩なんてしたこともないあたしではびくともしなかった。

 

「ぅくっ!!」

右手にちくりと痛みが走った。

 

なにやら注射をされた。

 

「よし、もういいぞ」

誰かが言った瞬間、手の力が緩んだ。

 

あたしの顔を押さえているおじさんに平手打ちをして、手を押さえるために全員が集まったため、がら空きになった出口へ向かって走り出した。

「いかん、外に出すな!!」

誰かが叫んだ・・・・

何とか自分のレポートだけはつかみ取り、ナースステーションから飛び出した。

 

確か非常灯があっちに・・・暗い病院は逃げ道のランプがそこら中に点灯しているため、脱走は容易

非常口の道案内に従い、非常階段に来た。

 

初めて見る60年後の世界、それはあたしの理解の範囲を超えていた・・・・

 

続く・・・・

 

あまりにも長すぎるので続き物(笑

それでは〜〜

☆ティア☆
2003/8/27


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